「ボーペンニャン」とは、ラオス語で「問題ないよ。」という意味。英語でNo problem、沖縄語で「なんくるないさぁ~」という意味です。
3か月前、長崎大学大学院にJICAの奨学金で留学しているラオス人の奥さんと2人の子供がラオスから長崎にやってきました。5歳の女の子と4歳の男の子を保育園に入れるには、お母さんに仕事がなければいけません。でも、日本語も英語もわからないお母さんが長崎で仕事を見つけるのは大変です。奨学金は毎月14万5千円で、家賃を払うと生活費もギリギリです。そこで、毎日100円で午前10時から午後4時まで親子で遊べる子育て支援センター「ぴよぴよ」を紹介しました。お母さんは毎日午前10時に2人の子供とお弁当をもって「ぴよぴよ」に通いました。ラオス人のお母さんは、スマートフォンでラオス語と日本語を翻訳して日本人のお母さんたちとコミュニケーションをとり少しずつひらがなを学んでいます。ある日「ぴよぴよ」の方から電話がかかってきました。「ラオス人のお母さんは、毎日がんばっています。言葉が通じない中、まわりに迷惑がかからないように気を使いながらしっかり子育てをしています。それを見ている周りの日本人のお母さんたちが、彼女にストレスがたまらないか心配しています。「ぴよぴよ」に来ることは問題ありませんが、他にも選択肢をつくったほうがいいのではないのでしょうか。」
そこで、火曜日の午前中だけ遊べる「南山こども園ファミリーランド」と、幼児から18歳までの子供が無料で使える「西洋館こども広場」にラオス人家族を連れていきました。南山こども園には屋外の砂場やミニサッカーゴールなどもあり2人の子供たちは大喜びでしたが、そこは午前中しか遊べません。帰る時間になると女の子は砂場を離れたくないと大声で泣きだしました。その日はお父さん、お母さんと一緒だったので、泣き続ける女の子をお父さん、おとなしくしている男の子をお母さんが連れて、「西洋館こども広場」に行きました。
数日後、「西洋館こども広場」から電話がかかってきました。ラオス人の男の子が他の男の子とおもちゃの取り合いになり、子供たちが泣き出したというのです。それは、よくある話なのですが、ラオス人のお母さんも泣き始めたというのです。ラオスから日本に来て、3か月。やんちゃな子供たちをつれて言葉も通じない異国の日本でがんばってきたお母さんもついにプッツリ切れてしまったようです。西洋館こども館の人も、男の子と喧嘩した子供のお母さんも、よくある話だから気にしないでとラオス人のお母さんに伝えたいのですが、日本語も英語も通じません。私はラオス人のお父さんにメッセンジャーでメールを送り、今すぐ奥さんに電話して、大丈夫だから気にしないようにと告げて下さいとたのみました。
それから、西洋館こども園に電話しました。
「ラオス人のお母さんに言ってください。ボーペンニャン」
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